大学入学共通テストを対話型生成AI(ChatGPT)の最新モデルに解かせたところ、15科目中の得点率が97%、さらに9科目で満点だった――。AIベンチャー「ライフプロンプト」の分析として報じられ、年々スコアが伸びている点も含めて大きな話題になっています。 Source
この記事では「すごい/怖い」で終わらせず、この出来事が教育現場・受験勉強・評価方法に何を突きつけているのかを、実務目線で整理します。
ニュースの要点(何が起きた?)
今回報じられたポイントは以下です。
ChatGPT最新モデルが「得点率97%」
共通テスト(17・18日実施)をChatGPTの最新モデルに解かせたところ、解答した15科目で得点率97%だったとされています。 Source
9科目で満点(初めて)
満点科目が出たのは初めてで、満点になった科目には、数学1A、数学2BC、化学、公共(政治・経済)、情報1などが挙げられています。 Source
東大文科1類想定でも高水準
東大文科1類受験生が選択しがちな科目に絞っても得点率は97%とされ、河合塾が昨年11月に予想していた「合格可能性50%のボーダー(得点率89%)」を大きく上回ったと報じられています。 Source
2024→2025→2026で伸びている
ライフプロンプトは2024年から毎年AIに共通テストを解かせており、東大文科1類想定の得点率は2024年66% → 2025年91% →(今回)97%と上がっているとのこと。 Source
「AIが試験で高得点」=“勉強が不要”ではない
このニュースを見て「もう勉強いらない」「受験が崩壊する」と短絡しがちですが、現実はもう少し分解して考える必要があります。
1) テストが測っているものと、社会が求める力がズレ始めている
共通テストは「知識・読解・処理」を大規模に測るには優れた仕組みです。一方で、AIがこの領域を急速に得意化したことで、“知識処理だけで勝てる”構造が揺らぎ始めたのが本質です。 Source
2) だからこそ「問いの作り方」が重要になる
AIが強いのは「既に定義された問題を解くこと」。逆に人間が価値を出しやすいのは、
- 何を問うべきか決める(課題設定)
- 条件を設計する(制約・評価軸)
- 結果を使って意思決定する(活用)
といった部分です。
受験がこの方向へ寄っていくなら、暗記量だけではなく思考の設計力をどう測るかが主戦場になります。
教育・受験はどう変わる?(現実的な3つの変化)
変化1:家庭学習は「AI前提」で再編される
すでに多くの受験生が、要約・解説・誤答分析にAIを使い始めています。今回のようにAIが高得点を取るほど、学習は「AIを禁止する」ではなく、AIを使って伸びる学習設計に寄っていきます。 Source
変化2:学校・塾は「添削・学習計画」に価値が移る
同じ問題を解かせるだけならAIが速い。だから塾・学校側の差別化は、
- 学習計画(弱点診断→優先順位)
- 添削(論理・表現・根拠・一貫性)
- メンタル・習慣化
のような“運用”に移りやすいです。
変化3:評価は「プロセス」や「口頭」へ寄る可能性
AIが“最終答案”を出せる時代、成果物だけを見て評価するのは難しくなります。
そのため、今後は
- 途中式・推論ログ
- 口頭試問(なぜそう考えたか)
- 複数資料を使った探究
のような形式が相対的に重くなる可能性があります。
受験生・保護者が今日からできる「AI時代の勉強法」
1) AIは「解答」ではなく「解き方の鏡」にする
AIに答えを出させるのではなく、
- 自分の解法を説明させる
- 別解を3パターン出させる
- 間違いポイントをチェックリスト化させる
のように、“学習を前に進めるための補助輪”として使うのが安全です。
2) 「なぜその選択肢を切ったか」を言語化する
AI時代に伸びるのは、判断プロセスを言語化できる人です。
共通テスト対策でも、正解を当てるだけでなく「なぜ他が違うか」を言える形にすると、AIと差別化しやすい力が残ります。
3) 情報の真偽チェック習慣を必須科目にする
AIは誤りうるので、参照の取り方(一次情報、統計、定義の確認)を“技能”として鍛える必要があります。
まとめ:AIが高得点を取る時代、問われるのは「学びの設計」
ChatGPTが共通テストで高得点、しかも満点科目まで出たという事実は、AIの進化を示すだけでなく、“試験が測れる能力”の相対価値が変化していることを示します。 Source
受験がすぐに崩壊するわけではありませんが、学びは確実に「AI前提」に再設計されていきます。
だからこそ今、個人も教育機関も「AIを使う/使わない」ではなく、AI込みでどう評価し、どう伸ばすかの議論が必要になってきます。

